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放送作家トキワ荘6

つづき。ロケでテレビの恐ろしさを改めて感じた俺だったが、すぐに普段の生活に戻った。
お題が出されない日が続き、やる事も無くひたすら悶々としていた。
(当時はかなり長い間お題が無い気がしたが、飢えてたせいか多少大袈裟かもしれない)

そんな中動いたのは、吉川氏の企画で79点、あと1点だけ足りなかったグリーンだった。
公式ルールではないが、トキワ荘には暗黙の了解でこんなルールがあった。
それは自分の進退を書け、一度だけ同じお題で再チャレンジするというものだった。
その結果80点以上であれば、合格が認められるというものだった。
簡単に言えばリライト。それまで何人かの合格者は、このルールで卒業して行った。
グリーンが悲壮な決意で再チャレンジする気持ちは、俺にも痛いほどわかった。
既に×を2つ喰らい後が無かった事もあるし、何より放送作家に強烈な憧れを持っていた。
テレビが大好きで、俺のタモリ嫌いが発覚すると、懇々とタモリの凄さを説いてくれた。
俺のように根性が悪くなく、博愛的というか、根が底抜けにいい奴だったんだ。
華奢でお世辞にも健康体では無かった上に、慢性的な空腹。グリーンは動いた。

グリーンがリライトのチャレンジを決意する一方、俺たちにもようやく新しいお題が出た。
今回の採点者は菅さん。前述通り、俺は菅さんに企画を見てもらう為に応募したんだ。
テーマは、「既存の番組で若手芸人を認知させられる企画」。
このお題を聞いたとき、俺の頭の中に2つのポイントが浮かんだ。
まずは、どの若手芸人をチョイスするか?そしてどの既存番組に当て込むか?
俺は迷わず「ガキの使いやあらへんで」をチョイスした。それ以外考えられなかった。
若手芸人は最初、ライセンスを選んだ。当時既に、ガキの前説をやっていたからね。
ただ、面白い企画は全く浮かんでこなかった。何を考えてもパッとしなかった。

そんな時、番組PのHさんが、例の如くプラッと俺たちの部屋を訪れたんだ。
そこで、俺は今度の企画は、ガキで考えている事を打ち明けた。Hさんの反応は早かった。

「やめた方がいいよ。どうしても書きたいならいいけど、ガキは無謀だよ」

ただでさえ菅さんは厳しいのに、自分の番組、ましてやガキの壁は半端じゃないと。
他にもガキを候補にしていたメンバーはいたが、それを聞いて諦めた奴もいた。
まあ、本来はそうだろう。ただ俺は全く諦められなかった。むしろ燃えた。
もはや、菅さんにガキの企画をぶつけたいという欲求は抑えられなくなっていた。

俺は考えた。部屋にあった、芸能人名鑑を何度も読み、若手芸人を再チョイスした。
そしてある瞬間、俺に神が舞い降りた。チョイスした若手芸人は、キングコング。
当時売れ始めた彼らは、そのキャラがナインティナインとモロ被りしていた。
そのナイナイとダウンタウンが仲が悪いのは有名な話。それを企画にしようと考えた。
また、既にガキで若手芸人がブレイクする前例はあった。森三中などがまさにそうだ。
俺は自分に神が舞い降りたと信じ込み、企画を考えた。結果、提出したのはこんな企画だ。

ダウンタウンのいる楽屋に、挨拶のためキングコングが入ってくる。
ダウンタウンはそれがナイナシだと思い込み、そういう態度で接する。
キングコングは先輩であるダウンタウンに言い返せず、ナイナイのフリで振舞う。
かなりブラックではあるが、こういう形で無いと実現できない企画。
しかも、キングコングは間違いなく認知されだろう。


上手くまとまらないが、こんな感じだったと思う。俺に不安は無かった。
ただ、菅さんにありったけの力を出し切ったという充実感はあった。
俺はジャッジを待ったんだ…。

by madein30 | 2006-06-25 00:28 | 俺の思い出  

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